3代100年恨まれる2015年12月27日

朝日新聞の記事(2015年12月27日00時04分付け「反日デモ、裏切りと思わない ヨーカ堂・三枝中国総代表」)に、三枝氏の言葉として、次の件があった。

「反日デモのときに、伊藤雅俊名誉会長が私に言ったんです。『順番を間違えるな。1番はお客様、2番は社員。店が燃えたってどうってことない。金の問題だろ、またつくればいい』『中国をかつて日本は戦場にした。そして、多くの人が亡くなったのも事実だ。3代100年恨まれることをした場所で、ビジネスができることをありがたいと思うんだ。感謝の気持ちがあれば、何があっても怖くない』と。オーナーだから言える言葉です。中国人に裏切られたなんて思わない。とにかく私たちは、地域に愛されるお店にしたい。そのために、商品や接客の品質をさらに高めていく。そのことが、中国の人々がイトーヨーカドーを通じて、日本を理解することにもなると思います」

対中国にしろ、対韓国にしろ、戦後70年も経って何度謝れば気が済むんだといった類いの論調がある。しかし、「3代100年恨まれることをした」ということを忘れてはなるまい。刑事ドラマの台詞ではないが、どんな言い訳をしたところで罪は罪だ。罪を許すのは被害者の特権であって、加害者に「もういいだろう」と言う権利はない。罪を償うというのは、罪を無かったことにすることではなく、被害者の損害を埋め合わせることである。加害者は賠償を済ませても、その罪を胸の内に秘め、同じ過ちを繰り返さないように、また同じような被害を受けている人々に手を差し伸べるよう努める必要があるだろう。

また、中国は謝罪を繰り返す、日本は謝意を繰り返すと言った研究者がいる。確かに、日本の田舎では、何かを貰ったとき、その場で礼を言うだけでは足らず、その次に出会ったときにも「先日は……」と礼を言わないと、「あいつは礼も言わない」と陰口を叩かれる。同様に、中国では謝罪を繰り返さなければ誠意を疑われるということだろう。その上に、侵略はなかったようなことを言われれば、怒るのも無理はあるまい。韓国についても、同じ事が言えるのではあるまいか。文化の違いを理解した上で誠意を尽くさなければ、地球儀を俯瞰した外交などできまい。

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