ストーカーの論理2017年06月21日

先日の安倍内閣総理大臣記者会見で、安倍首相は次のように述べたそうだ(首相官邸ウェブから)。

4年前、政権奪還後の最初の通常国会において私は、建設的な議論を行い、結果を出していこう、こう各党各会派に呼び掛けました。

その原点は今なお変わることはありません。

しかし、この国会では建設的議論という言葉からは大きく懸け離れた批判の応酬に終始してしまった。政策とは関係のない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまいました。

国民の皆様に大変申し訳なく感じております。

印象操作のような議論に対して、つい、強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が、結果として、政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省しております。

いつものことならが、矛先が自分に向かうと、同じことを自分もやっているにも関わらずそれを棚に上げて、野党を非難する。ところで、疑惑の追及を「印象操作」だと難じるのは如何なものか。そもそも疑惑というのは疑い段階なのだから、確たる証拠がないことが多い。たまたま状況証拠と言うべき情報を得て、疑惑を抱き、真相を尋ねているのである。捜査機関なら、裏付け捜査を進めるところだろう。政治の場においては、権限を持った捜査ではなく、質疑によって質すのである。それが何故印象操作なのだろうか。

ところで、上の発言を見て、つくづく安倍という人は「ストーカー気質」なのだなぁと感じてしまった。ストーカーや暴力夫が実際にどのような主張をするのか立ち会ったことがないので知らないが、ニュースやらドラマやらでは、「一方的に恋愛感情を募らせ」たり、下手に出たと思ったら、いきなり逆上して「お前が悪いんだ」「俺が養ってやっている」「お前は一人では何もできない」といった論理を展開したりするもののようだ。今回の記者会見冒頭発言は、まさに、ストーカーの論理である。

特定秘密保護法、安保法、そして共謀罪と、2年毎に強行策に出ると、誰かが言っていたように思うが、強行して顰蹙を買っても「国民は直ぐに忘れるさ」と考えているようだ。「女性の活躍」だとか「待機児童ゼロ」だとか「働き方改革」だとか「高等教育無償化」だとか、民主党と見まごうばかりの政策を並べたり、「就活時期を遅らせろ」とか「スマホ料金を引き下げろ」とか「地球を俯瞰する外交」だとかの大衆受けする政策の目眩ましを放ったり、「丁寧に説明する」としおらしく見せたりして、「忘却」を誘う。

それでも有効な政策が出て成果が挙がればいいのだが、多くは本質を外した愚策か空手形でしかない。「女性の活躍」のためとされる政策はオジサン目線などと揶揄する女性もいるようだし、「待機児童ゼロ」は未達だったし、就活時期を遅らせたが結果は当事者の混乱と不満を招いただけだった。スマホ料金が下がったのは格安スマホが登場したからではなかろうか。働き方改革に関連して話題に上る事例も、それ以前からの取り組みだったり、元々素地があったりしたものが散見される。地球を俯瞰する外交といっても、世界的視点が欠けているし、北方四島も竹島も慰安婦問題も尖閣諸島も、解決どころか悪化している懸念すらある。政権登場時に華々しく掲げたアベノミクスは2年経っても4年経っても5年経っても「道半ば」だし、消費税増税は「新しい判断」で延期せざるを得なかった。財政と日銀経営の破綻も「道半ば」のままであればいいが、いずれ火が付くであろう。その上、禁煙対策の法改正が先送りされたことは、官邸主導や首相・与党党首のリーダーシップが偽りであることを示している。3月にロンドンで発生したテロの犠牲者数は数名、国内での喫煙による超過死亡数は10万人規模なのである。安倍政権が見ているのは憲法を改正して日本軍を復活させることだけなのだろう。

こんな政権を支持する有権者がまだ4割もいる(毎日36%~日経49%、朝日新聞の記事から)。

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