訪日外国人旅行者と梅毒感染者数2017年01月19日

国立感染症研究所の統計によると近年梅毒感染者数が急増しているが、その原因について訪日中国人旅行者によるものだという話がウェブ上に散見される。これは本当だろうか。

両者の関係を見るため、2008年以降の梅毒感染者数と訪日中国人旅行者数(日本政府観光局の統計による)をグラフにしてみた。確かに、同じ傾向が見られ、相関は高い。もちろん、相関が高いからといって一方が他方の原因だとは限らないが、この場合は両者の増減が同じ原因によるものとは考えにくく、中でも若い女性の患者が急増していることを考慮すると、訪日旅行者が患者急増の要因である可能性が高いように思われる。しかし、中国だけでなくアジア全域からの訪日旅行者数や全訪日旅行者数との相関をみても、相関係数はやはり0.97となった。したがって、訪日中国人旅行者だけを名指しするのは誤りというべきだろう。 さらに、数か月の潜伏期間を考慮して、梅毒感染者数を1年遅らせて相関を見ると、訪日アジア人旅行者数との相関が一番高く0.99、全訪日旅行者数では0.98、訪日中国人旅行者数に対しては0.97となった。

こうした数字だけで断定することはもちろんできないが、少なくとも、訪日中国人旅行者のみを殊更に梅毒感染者数急増の原因として主張するのは控えるべきだろう。