ロッカールームトーク ― 2024年11月26日
私には見るだけで虫唾が走るほど嫌いな人物が四人いる。ところで、古典文学の中には、作家や文学者による現代語訳が何種類か出版されているものがある。嫌いな人物四人のうちの一人も、ある古典文学を現代語訳している作家である。
ある日ある時、その人物を含む数人が談話するテレビ番組があった。その中で、別の人の現代語訳が評判になっているという話が出たとき、その人物は割り込んで「私のも売れてます」などと、話の筋に関わりのない発言をしていた。それが、その人物に対する評価が確定した瞬間、虫唾が走るほど嫌いになった瞬間である。
その人物は、世間的には人気のある人で、マスコミにもよく登場し人間性の高い人物として好意的に扱われている。しかし、人の本質あるいは本音は何気ない一言の中に現れるものだ。講演会やインタビューなど、多少とも打ち合わせのある公式の場での予定された発言であればあらかじめ繕うことも出来るだろうが、何かの拍子にポロッと出る言葉には、嘘偽りのないその人の人となりが如実に出るものだ。
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見ただけで虫唾が走る四人のうちの、もう一人は、米国のトランプである。前回の大統領選の際、女性を蔑視する発言を曝露されロッカールームトークだと開き直っていたが、そういう場でこそ、その人となりが露わになる。つまり、ロッカールームトークだから聞き流せ、ではなく、ロッカールームトークだからこそ非難されるべきなのである。