国民投票法案2007年04月14日

県ウェブページ掲載の2007年4月13日の知事会見「国民投票法案について」から

 これは全く個人的な見解ですからあれですが、私は当たり前な法律がやっとできたのかっていう感想以外何もありません。

 憲法96条でしたか、改正についての条文がありながら、60何年に亘って改正についての手続法が全然制定されていない、誠におかしなことがあった。やっとそこのところだけは合意ができた。明治憲法よりも長いこと日本国憲法は、一切変えられることなくあるという非常に不思議なことになっている訳ですね。憲法というといきなり皆さん憲法9条の話にすぐ頭がいくみたいであれなんですけれど、私は憲法9条なんて変える必要はあると全然思っていない。例えば私学に対する補助を禁止する条文が憲法に入っていますね。あれなんか本当にたいへんな条文でありまして、日本の私立学校で国の補助金なしに運営しているところは一つもない。それなのにも関わらず、あの憲法の条文が守られているとみんな誤解している。こういうごまかしが、物事をおかしくしているんだと私は思いますね。そういう意味では、変えなきゃならないところっていくらでもあるんですよ。そういう例を一つだけ引用させていただきました。私は、手続法としての投票法案がとりあえずあのような形で通ろうとしていることは結構なことだという私見だけ申し上げておきます。知事としての見解というより村井個人の見解であります。

 国民投票法はもちろん必要だろう。しかし、問題は、その成立過程と内容にある。与党のみで可決したのに、なぜ「合意ができた」ことになるのだろうか。

 明治憲法より長く変えられていないのが、なぜ「非常に不思議」なのか。

 「私学に対する補助を禁止する条文」というのは、憲法89条「公金その他の公の財産は、…公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」を指しているのだろう。私学助成と憲法89条との関係については、私立学校法成立当時に議論された。いろいろな意見はあるが、合憲性の論拠を、教育が憲法および教育基本法により公共的性格を持つとされていることと、憲法が定める生存権や教育を受ける権利に求めるのが一般的なように思われる。少なくとも、単なる「誤解」でも「ごまかし」でもない。「ごまかし」と言えば、その最大のものは憲法9条で禁止されているはずの戦力が保持されている点だろう。憲法9条「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」は、明確に戦力の保有を否定しているのだ。