総裁選2018年08月11日

アベノミクスが破綻しているのは誰の目にも明らかだが、自民党の総裁選では「アベノミクスの成果を……」などというフレーズがまたぞろ聞かれる。GDPの推移を見ると、現政権になってからGDPが拡大しているのは確かである。しかし、1990年辺りからの推移をグラフにして見てみれば、アベノミクスが奏功しているようには全く見えない。90年代と言えば、いわゆる「失われた10年」と呼ばれる低成長時代である。グラフの赤い直線(上)は、その後の10年も含めた「失われた20年」の趨勢を示し、この間の成長率は3、4%程度でしかない(単利での割り算)。この傾向線を下にずらすと、リーマンショック後の推移とよく一致する。しかも、東日本大震災を含む3年間の民主党時代を含めて、この傾向に変化は見られない(もちろん、ショックと震災で数字は揺れているが)。

詰まるところ、この低成長はアベノミクスによるものではないだろう。失われた20年の間には様々な政策が実施されたが、GDPの趨勢に基本的な変化はなかった(1980年代の推移を見よ)。現政権下でも、選挙ごとに目先を変えてさまざまなキャッチフレーズが踊るが、いずれも「改革」「革命」「活躍」の名に値しない。多くは野党の主張を名だけ取り込み、水道管を敷設せずに蛇口だけを取り付けたような表層的な施策に過ぎず、GDPの推移にも変化はない。民間の動きを政策の成果であるかのように伝える(伝わる)報道も、記事をよく見ると、現政権発足以前から始まっている事例が少なからずある。

得意と言われる外交でも、北方領土・竹島・尖閣諸島・従軍慰安婦・北朝鮮の懸案が解決に向かったかと言えば、従来のフレーズを繰り返しているだけ、悪化させたものさえある。

麻生大臣はよくナチスを引き合いに出すが、人事により関連機関を意に沿って動かしたり、大衆受けのする施策で支持率を上げたり、連続2期までとした自民党総裁の規定を3期までに延長したりと、確かにナチスと同様の手法を採っているようだ。モリカケ疑惑のように、手のひらを返したり、あるものをないと言い張ったり、「ごはん論法」だったりと、人間性にも疑問符がいくつも付いている。

こうした人物を支持する国民がまだ4割もあるのだから驚きというほかない(NHK世論調査)。

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